社会地理論 レポート課題 (2005126日付け)

 

テーマ 最後の講義でも紹介したが,下記の大阪(環状線沿い)インナーリング(図参照)の都市論を考えるにあたって,そのひとつの指標として,部落,在日,沖縄,日雇という日本の社会的なマイノリティによる都市社会運動について概観した。を紹介した。そして大阪インナーリングは下記の通り,マイノリティの運動が強くて,一般市街地でも運動がほとんど見えてこないという図式になっている。それは下記の文章でも触れているとおりである。

レポートの課題

ではこうしたマイノリティの三日月地帯における運動と,それ以外の地区,あるいはこうしたマイノリティによって展開されていない運動を探し出し,その運動の内容,歴史,ターゲット,地域での展開事例について,それぞれひとつずつ見つけ出し,それを叙述せよ,という課題にします。もちろん実地にフィールドワーク聞き取りをすることはもっとも王道ですが,まずネットで調べることをお薦めします。

   被差別部落(部落,同和地区),在日コリアン(在日朝鮮・韓国人),沖縄出身,日雇労働者

<キーワード> 運動体,NPONGO,まちづくり,福祉,差別,人権,

 

   「それ以外の地区」に関しては,福島区,此花区,北区,港区,大正区,浪速区,西成区,阿倍野区,天王寺区,東成区,生野区,城東区,都島区から選ぶこと。

 

<キーワード> 運動体,NPONGO,まちづくり,福祉,医療,地域おこし,高齢者,居住,すまい,,,,,,,,その他,考えられるキーワードで検索してください。

 

レポートの形式は自由であるが,必ずコメントは少なくとも400字以上はつけること。

提出はメールのみで受け付けます。どうしても無理な場合には,水内の研究室前(文学部棟361)のピンクのBOXにいれてください。メールの場合には,添付ファイルで次の mizuuchi@lit.osaka-cu.ac.jpに送ること。 締切りは29日水曜日の午後5時とします。

 

 

大阪インナーリングの都市論?

 

 この節のタイトルが,今までの叙述で成就できたかは,はなはだ心許ない。大阪論という観点に立てば,たとえば私鉄ネットワークとこのインナーリングの歴史的状況にほとんど接点のないことにも気づかれたと思う。官僚機構の十全なるコミュニティの均質化路線により,一般の住民の異議申し立ての回路は,公害問題や地域エゴに属する話題を除いて活発ではなかったし,押さえ込まれてきたといえる。そうした流れから対比すると,このインナーリングは,日本人コミュニティよりは,マイノリティ側からの発信が目立つ形で,推移してきたといえよう。環状線沿線,特に東部から南西部にかけてのマイノリティの三日月地帯が元気だったのである。在日,日雇,部落,沖縄出身,と,いずれも東京よりも,運動論的にも量的にも,質的にも活発であったのが大阪であり,消費志向の強い中間回想やエリート層が作り出す東京論とはある意味で対極のインナーリングからの大阪論となっている。

 本章では,昭和40年代までしか語っていないが,マイノリティの三日月地帯という領域性は,その後,さまざまなチャネルを通じて,社会的な権力と結びつく場面も生じてきた。しかしながら,たえず多様な生活者にとって意味ある場所をつくりだし,また既存の空間形態や,制度,文化を再編し,日常的な生活や労働のなかからそれらを再生産させ,新しい構造を作り出すかが,大阪インナーリングにも問われている。